アメリカ中央ちゅうおう軍ぐんは日本にっぽん時間じかんの3日にち午前ごぜん6時じ、イラクとシリアの領内りょうないで活動かつどうするイラン革命かくめい防衛ぼうえい隊たいの「コッズ部隊ぶたい」や、それに関係かんけいする武装ぶそうグループに対にたいして空爆くうばくを行おこなったと発表はっぴょうしました。

標的ひょうてきは85か所かしょ以上いじょうにおよび、武装ぶそうグループの指揮しき所しょや、ミサイル、無人むじん機きなどの関連かんれん施設しせつが含ふくまれているとしています。

また、攻撃こうげきの一部いちぶは、アメリカ本土ほんどから飛び立とびたった長距離ちょうきょり爆撃ばくげき機きが行おこなったほか、125発はつ以上いじょうの精密せいみつ誘導ゆうどう弾だんを使用しようしたということです。

こうした攻撃こうげきについてアメリカ政府せいふ当局とうきょく者しゃはNHKの取材しゅざいに対にたいし、先月せんげつ28日にちにヨルダンでアメリカ軍ぐんの拠点きょてんが攻撃こうげきされて、兵士へいし3人にんが死亡しぼうしたことに対にたいする報復ほうふくだと明あきらかにしました。

バイデン政権せいけんは、先月せんげつのアメリカ軍ぐんへの攻撃こうげきはイランが支援しえんし、シリアやイラクで活動かつどうする武装ぶそう組織そしきによるものだとの見方みかたを示しめし、「段階だんかい的てきかつ長期ちょうき的てきな報復ほうふく措置そちをとることになる」としていました。

一方いっぽうで「中東ちゅうとう地域ちいきでの戦闘せんとうの拡大かくだいは望のぞまない」と強調きょうちょうしていて、イラン領内りょうないでの直接ちょくせつ的てきな攻撃こうげきは避さけたものとみられています。

“シリア東部とうぶで複数ふくすうの空爆くうばく 戦闘せんとう員いん13人にん死亡しぼう”の情報じょうほう

中東ちゅうとうシリアの情報じょうほうを集あつめているシリア人権じんけん監視かんし団だんによりますと、2日にち、イラクと国境こっきょうを接せっするシリア東部とうぶデリゾール県けんで、複数ふくすうの空爆くうばくが行おこなわれたということです。

この地域ちいきにはアメリカやイスラエルと敵対てきたいするイランの支援しえんを受うける民兵みんぺい組織そしきが活動かつどうしていて、今回こんかいの空爆くうばくでこれまでに民兵みんぺい組織そしきの拠点きょてんなど17か所かしょが攻撃こうげきを受うけ、戦闘せんとう員いん13人にんが死亡しぼうしたということです。

バイデン大統領だいとうりょう「米べい国民こくみんに危害きがい加くわえれば われわれは対応たいおうする」

アメリカのバイデン大統領だいとうりょうは2日にち、声明せいめいを発表はっぴょうし「わたしの指示しじにより、アメリカ軍ぐんは、イランの革命かくめい防衛ぼうえい隊たいと、関連かんれんする武装ぶそう組織そしきが使用しようするイラクとシリアにある施設しせつを攻撃こうげきした。われわれが選えらぶタイミングと場所ばしょで、攻撃こうげきは続つづく」として、報復ほうふく措置そちを断続だんぞく的てきに続つづけるという考かんがえを示しめしました。

その上うえで「アメリカは中東ちゅうとうなどで紛争ふんそうを望のぞんではいない。しかし、アメリカ国民こくみんに危害きがいを加くわえれば、われわれは対応たいおうする」と警告けいこくしました。

バイデン大統領だいとうりょう 死亡しぼうした兵士へいし3人にんの到着とうちゃくに立ち会たちあう

アメリカによる報復ほうふく措置そちを前まえにバイデン大統領だいとうりょうは2日にち、東部とうぶデラウェア州しゅうの空軍くうぐん基地きちで、先月せんげつ28日にちにヨルダンで無人むじん機き攻撃こうげきによって死亡しぼうしたアメリカ人じん兵士へいし3人にんの遺体いたいの到着とうちゃくに立ち会たちあいました。

バイデン大統領だいとうりょうはオースティン国防こくぼう長官ちょうかんらとともに星条旗せいじょうきがかけられた棺かんが運はこばれる様子ようすを見守みまもっていました。

【解説かいせつ動画どうが】米べい軍ぐん“報復ほうふく攻撃こうげき”の背景はいけいは

今回こんかいのアメリカ軍ぐんによる攻撃こうげきの背景はいけいと、イスラエルとイスラム組織そしきハマスの軍事ぐんじ衝突しょうとつに与あたえる影響えいきょうについて、国際こくさい部ぶの戸川とがわデスクの解説かいせつです。

【動画どうが:4分ふん12秒びょう】※3日にち午前ごぜん7時じのニュースで放送ほうそうしました

Q. 今後こんご、攻撃こうげきの応酬おうしゅうがエスカレートするおそれは？

その可能かのう性せい含ふくめ、今後こんごの情勢じょうせいを見みていく必要ひつようがありそうです。

アメリカのオースティン国防こくぼう長官ちょうかんは1日にち「われわれの対応たいおうは重層じゅうそう的てきなものになる」と述のべ、攻撃こうげきが一定いってい期間きかん続つづくことを明あきらかにしています。

つまり、今回こんかいの攻撃こうげきだけで終おわらない可能かのう性せいがあるということです。

ただ、アメリカ側がわはこの地域ちいきで緊張きんちょうが高たかまることは避さけたいという考かんがえです。

今回こんかい攻撃こうげきあった場所ばしょ、これまでの情報じょうほうだと、イラクとシリアの領内りょうない、つまり、イラン領内りょうないは含ふくまれていません。

アメリカもイランとの直接ちょくせつ的てきな緊張きんちょうの高たかまりは避さけたい考かんがえです。

そのイランは、ヨルダンでの攻撃こうげきについて関与かんよを否定ひていしています。

その上うえで、地域ちいきで緊張きんちょうが高たかまっている責任せきにんは、ガザ地区ちくへの軍事ぐんじ作戦さくせんを続つづけるイスラエルや、支援しえんするアメリカ側がわにある、とする考かんがえを示しめしています。

中東ちゅうとう各地かくちでは、イランが支援しえんする「抵抗ていこうの枢軸すうじく」と呼よばれる武装ぶそう組織そしきのネットワークが、イスラエルやアメリカへの対決たいけつ姿勢しせいを掲かかげています。

▽パレスチナの「ハマス」や、▽レバノンのイスラム教いすらむきょうシーア派は組織そしき「ヒズボラ」、▽紅海こうかいで船舶せんぱくへの攻撃こうげきを繰り返くりかえしている、イエメンの反はん政府せいふ勢力せいりょくフーシ派は、そして、▽イラクやシリアの親しんイランの民兵みんぺい組織そしきです。

アメリカもイランも、ともに緊張きんちょうの高たかまりは望のぞんでいないとしても、こうした勢力せいりょくが独自どくじの判断はんだんでイスラエルやアメリカへの攻撃こうげきを拡大かくだいさせるおそれもあり、報復ほうふくの応酬おうしゅうによって、中東ちゅうとうの情勢じょうせいがいっそう不安定ふあんてい化かする懸念けねんがあります。

Q. イスラエルとハマス 停戦ていせん交渉こうしょうに与あたえる影響えいきょうは？

イスラエルとハマスの間まの戦闘せんとう休止きゅうしと人質ひとじちの解放かいほうに向むけた交渉こうしょうが進すすんでいます。

その交渉こうしょうですが、ハマスがイスラエル側がわから提案ていあんを受け取うけとったことを明あきらかにしていて、条件じょうけん面めんなど慎重しんちょうに検討けんとうを重かさねているものとみられます。

そうしたなかで、アメリカの報復ほうふく措置そちがありました。

次つぎに親しんイランの民兵みんぺい組織そしきやイランがどのような反応はんのうを示しめすのか、注視ちゅうしが必要ひつようがあります。

報復ほうふくの応酬おうしゅうが続つづけば、中東ちゅうとうの情勢じょうせいがさらに不安定ふあんていになり、結果けっかとして、交渉こうしょうにも影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいもあります。

交渉こうしょうを仲介ちゅうかいするカタールのムハンマド首相しゅしょうは「私わたしたちの行おこなっている努力どりょくが損そこなわれ、これまでのプロセスを危あやうくすることがないよう願ねがっている。状況じょうきょうに歯止はどめがかかることを望のぞむ」と述のべていました。

アメリカのブリンケン国務こくむ長官ちょうかんが4日にちから中東ちゅうとうを訪問ほうもんし、イスラエルやカタールなどを訪問ほうもんする予定よていです。

人質ひとじちの解放かいほうと戦闘せんとう休止きゅうしの交渉こうしょうを進展しんてんさせつつ、紛争ふんそうの拡大かくだいを防ふせぐことができるか、そこも焦点しょうてんとなっています。